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タルマーリーの天然菌のある生活~地域内循環が子どもたちの未来を繋ぐ~

2016年04月30日|カテゴリー: 子育て/家族
国際クレイセラピー協会(ICA)  の会報誌【EarthVol.21】に、タルマーリー女将・渡邉麻里子のインタビューを掲載していただきました。智頭へ移転した今のタルマーリー、女将、母、渡邉イタルの妻としての思いを語っています。
下記が内容です。長いのですが、よろしければ読んでみて下さい。
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Interview with Mariko Watanabe

 

 

【タルマーリーの天然菌のある生活】

~地域内循環が子どもたちの未来を繋ぐ~

 

私が「智頭町」に行こうと決めた1番の理由は「子どものこと」でした。主人はビールを作りたいという想いが強くて、私は自然豊かな里山で子どもを育てたくて。私も主人も東京出身で、千葉に移住しパン屋を始め、震災後岡山へ、さらに智頭へと、3回も移住しました。智頭への移住を決定的にしたのが、以前から存在だけは知っていた「森のようちえん まるたんぼう」でした。自然保育でありながら、働くお母さんが安心して預けられるようなシステムをきちんと持っている幼稚園で、「ここならぜひ預けたいな」と思いました。

 

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森のようちえん

 

森のようちえんは園舎がありません。智頭町は林業で栄えた町で、町の9割が森林。まさにその森が園のフィールドとなっていて、子どもたちは毎朝、集合場所からバスに乗って自分達が決めたフィールド/遊び場へ向います。雪が多い日は雪遊びができる場所に、川で泳ぎたいときには川のある場所へという具合です。お弁当も子どもたちが、それぞれに好きな時に好きなように食べます。「お腹が空いたら食べる」というスタンスです。
園のスタッフは周囲の安全確保のほか、子どもたちを”見守る”ということに徹しています。金曜日には子どもたちが自分たちで火を起こして、野菜を切ってごはんを作ります。刃物の使い方から料理、山菜も自分達で採りながら名前も覚えていきます。年長になると自分用のナタやナイフを持ってきて、それで木を削って剣を作ったりします。
ようちえんだけでなく、智頭町に来てから、地域の人との関わりがすごく増えました。自然に子育てにも関わってくれて、たとえば近所に住むおじさんが、子どもたちを川や海へ釣りに連れて行ってくれたりします。自然豊かな環境と地域の人々の知恵が「子どもの学び」を自然に促してくれているんです。
この4月からは子どもたち2人とも智頭町立の小学校に通い始めていますが、智頭町に来て、仕事、生活、趣味、子育て、そして思想の全てが繋がった感覚が強くあります。分断されていたものがここにきて繋がり、循環する土台ができた感じです。

 

智頭町に来たときに嬉しかったのは、地域の方が「まあまあ食っていけるから大丈だよ」と言ってくれたことです。今までは「田舎といえどもそれなり現金が必要だし、けっこう厳しいよ」と言われることが多かったのですが、「米も野菜も川魚もとれるし、食うには困らないよ」って言ってもらえて、肩の力がすっと抜けました。そして、智頭町役場のバックアップがしっかりしていて、ほんとうに驚きました。全ての手続きがスピーディーで、小回りの効き方が半端じゃないです。役場も観光協会も応援してくれて、お客さまを連れてきてくれたりするのは、カルチャーショックに近いものがありました。鳥取県、そして特に智頭町は人口が少ない分、ひとり一人を尊い人材として大切にしようという思いがあるような気がします。これは人口が過剰に多い都会にはない温かさかなと感じています。

 

グローバリゼーションからローカリゼーションへ

 

大学では地域生態システムを学び、環境社会学を専攻しました。環境問題への取組みとして、地域内のエコロジカルな循環を作ることの重要性を学んだのですが、社会人になって、これだけグローバリズムが進み、戦争や産業などで環境を破壊していく現実を目の当たりにすると、小さな地域での活動が本当に影響力を持ち得るのか、疑問に思ったこともあります。たとえば、100の農家がいるとして、10の農家が無農薬にするよりも、50の農家が減農薬にした方が環境負荷は減る…という議論があります。そこそこのことを皆でやった方が結果は大きく出るという考え方です。確かに理論的に考えればそうなります。でも実際に夫婦でパンを作り始めてみたら、"そこそこやる"よりも"トコトンやる"ほうが面白いかったんですね。「一部のパンだけを天然菌で作るというのでなく、すべて天然菌だけでパンを作る」というように、物事をつきつめていくと楽しくなって、しかも最終的にはとても楽になりました。もちろん苦しいことも多いのですが、何と言っても自然界の真実が見えてきたんです。今すぐに広い理解が得られないとしても、この何十年先、私たちの子どもや孫の時代に、「あーこういう生き方があるんだ、こういうことをやってきた人たちがいるんだな」と、定常型社会*の生き方のひとつとしてヒントにしてもらえたら、と思って取り組んでいる状況です。

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天然菌

 

智頭町には、基本的に水、土、木といった、ベーシックインカムが自然界から得られる形が存在しています。そこに地域の人たちとの人間的な関わりがあって、更に「生きる技」がそこに伝承されています。
実際、生きていくのにほんとうに必要なものってシンプルだということを、私たちは天然菌に教えてもらいました。天然菌でパンを作るためには、パン工房だけでなく、作り手の生活からも化学物質を排除しないとうまく発酵しないんです。"天然菌だけでパンを作る"と決めてから、「いかに化学物質を排除するか」に生活そのものをシフトしました。「毎日シャンプーや石鹸でゴシゴシ身体を洗う必要あるのかな、歯磨き粉は必ずつけなきゃいけないのかな」と見直していくと、ものすごく生活そのものがシンプルになりました。一度、パン工房で除虫菊の香取線香を使ったら、うまく発酵しなくなったことがあります。それはもう死活問題ですから、いくら自然派の製品といえども防虫剤は使わない、食器洗いはお湯をベースに石鹸一個だけ置いてどうしても必要なときに使う~という感じにしています。そうしてみたら家族全員がほんとうに気持ちよくなって、下の子のアトピーも自然に治りました。必要なモノって、せいぜい、クエン酸や重曹、それこそクレイやお塩とかで充分で、スーパーに行ってもあんまり買うものがありません。こういう事に気付くきっかけというのは、たぶん子どもや自分の病気だったり、我が家では発酵の様子だったりします。ネガティブに捉えずにひとつひとつのきっかけをチャンスにしていくと、生きることがより楽になっていくんだなと感じています。

 

天然菌は昔、誰もが自分の家で採っていました。特に糀菌は日本独自のもので、各家庭で天然の糀菌を利用して、甘酒やどぶろく、お味噌などを作ってきたんです。
智頭町に移り住んですぐに「タルマーリーはこういう天然菌のパン作りをしていて、自然栽培(無肥料無農薬栽培)の素材じゃないとうまく発酵しないんです」というプレゼンテーションを地域の皆さんにしたら、「私たちは農薬を使っているけど大丈夫なのかい?」と心配してくれたんです。その後、町をあげて自然栽培を応援する体制を作り始めてくれて、実際に米や野菜の自然栽培に挑戦しようとする農家さんが出てきたり、智頭のビールが飲めるなら自然栽培でホップを作ろう、というように動き出してくれています。
「菌がそういっている」と聞けばなんとなく納得できてしまう世界があって、それがとてもおもしろいですね。これから、実際にどれだけ地域内循環を実現していけるのか、私達の力量が問われていきます。

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今後は、タルマーリーの発酵技術を他の人も真似できるようにしていきたいと思っています。そのためには、言い伝えるだけではなく、明文化していく必要があるでしょうね。
特に天然の糀菌を採取して酒種を作る…となると、今は主人しか出来ないので、これから後継者を育て、更に技術を文献化していきたいです。天然糀菌を採るってどういうことか、菌の生態系はどうなっているのか、こういったことは私たちにとっても未知で、今は感覚だけで伝えている部分を具体的に体系化し、多くの人が理解できるようにしていけたらいいですね。

 

タルマーリーの世界観

 

もっと言えば、「タルマーリーの世界観」を明文化したいです。地域の農家が栽培した小麦を自家製粉してパンを作る…といった「地域内循環」に加え、タルマーリーでビールをつくり、そのオリを酵母としてパンをつくる…というようなタルマーリー内部での循環もあります。それにしても、発酵やら製粉やらってマニアックでわかりにくいですよね。「実際、タルマーリーって何してるの?」という一般的にはよくわからない世界をきちんと整理して、文献にできたらいいなあと考えています。そんなに簡単な仕事じゃないですけれど。

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今我が子たちは豊かな里山で、私たちや地域の人々の仕事や暮らしぶりを間近に見ながら育っています。地域のおじさんが米や野菜とパンを交換してくれたり、魚釣りや山菜採りを教えてくれたり。里山や川や海に行けばおかずは手に入る…という暮らしの原点を感じながら育っている。東京で生まれ育った私にとっては、智頭町のようなスモールに全てが繋がっている環境で「生きる」というシンプルな営みをイメージできている子どもたちが頼もしいです。この暮らしが彼らの財産だと思うし、将来は、田舎の資源と本人たちの才能を活かして物作りをしてくれたら素敵ですね。以前は子どもに跡を継いでもらいたいとは考えなかったのですが、最近はパンやビール造りを継いでくれたら嬉しいな…と思うようになりました。もちろん、親として子どもの選択肢は幅広く持たせてあげたいです。海外で何かを学ぶのでもいいし、田舎で早々に結婚して家族で暮らす…というのも凄くいいなあと思います。

 

タルマーリーはある意味、直感と想いだけでなんとかやってきました。主人がパン職人になると決めた時も「おじいちゃんが夢に出てきて、パン屋になれっていわれた」と言い出して、パンの作り方も何も知らない、本人はパンよりもご飯が好き、という状況でパン屋に修行に入りました。とにかく思い立ったらすぐに行動の人で、以前にも急に井戸を掘るといって、庭にスコップひとつで何メートルも掘って、結局失敗、ということもありました。最初は私も意味がわからず理論的に反対したりしましたけれど、何を言っても気が済むまでやらないとダメらしい…と諦めてからは、見守りながらサポートしています。彼の直感と行動力、その結果がおもしろくて、凄いなぁって、ずっと一緒に仕事していても飽きません。直感で動き、理論は後からついてくる。それがタルマーリーのやり方です。

 

※定常型社会 「(経済)成長」ということを絶対的な目標としなくとも十分な豊かさが実現されていく社会

 

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photo: Kazue Kawase(YUKAI)

 

 

■渡邉 麻里子(わたなべ まりこ)
「タルマーリー」女将。
1978年、東京都世田谷区生まれ。田舎暮らしに憧れ、環境問題に危機感を持ち、東京農工大学農学部で環境社会学を専攻。日本、アメリカ、ニュージーランドの農家や環境教育現場で研修。卒業後、農産物卸会社、農産加工場で通販、広報を担当した後、渡邉格と≪タルマーリー≫を創業。現在は、タルマーリー女将として、販売、企画、広報、経理、講演などを担当。10歳の娘と6歳の息子の母親として、田舎での職人的子育てを模索中。

 

■タルマーリー
2008年に千葉県でパン屋を開業。天然菌だけで発酵させるパンづくりを実践し、発酵には自然栽培の素材がベストだと知る。震災後、より良い水を求め岡山県に移転。更に、パンで積み上げてきた技術を活かしたビール造りを実現するため、2015年鳥取県智頭町へ移転。廃園した元保育園を改装し、「パン・ビール・カフェ」の3本を事業の柱に、地域内循環の実現を目指す。「パンとビールを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」経営を目標に、智頭の里山の恵みを最大限に活かした加工と、それを楽しむ場、タルマーリーの世界を構築中。

 

書籍紹介
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

渡邉格(著)講談社 定価1,600円(税別)

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智頭小学校に通います。

2016年01月28日|カテゴリー: 子育て/家族

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紆余曲折を経て…。
結局、今年2016年4月から、我が家の子どもたちは智頭小学校に通うことになりました。
モコは5年生に、ヒカルが1年生になります。
そして今日は、モコが昨年春から通っていた「新田サドベリースクール」に行く最後の日になりました。

 

ヒカルは自ら、「智頭小に行きたい!」という判断をしましたが、モコに関しては両親である私とイタルが判断しました。そしてモコもそれに納得し、春から智頭小に通う心の準備を始めています。

 

昨年2015年4月。
私たちは智頭に引越し、何もかもが新しい生活が始まりました。
そして、モコは智頭小学校4年生に在籍しながら「新田サドベリースクール」に通うというスタイルを選択してきました。
「新田サドベリースクール」の平日クラスも2015年4月から始まったばかりの試みで、ワクワクドキドキ。親としても娘の教育環境が早急に充実してほしい…という思いで、緊張感を持ってきました。

 

2015年夏、私が鳥取大学での講演させてもらったとき、
「なぜ智頭に移転したのか?」
というお話をしたのですが、その中で子どもたちの教育環境も移転の要素になった…とご紹介しました。
そのときに、こんな質問を受けました。
「こうして講演をされたり、本を書いたり…ということができるのも、学校の勉強をして大学を卒業されたからだと思うのですが、お子さんをサドベリースクールに入れて不安はないのでしょうか?」
そのとき、私はこう答えました。
「正直、不安です。けれど、私は東京で一生懸命勉強して大学を卒業して、それからこうして田舎のパン屋になったのですが、自然を相手にモノづくりをしようと思ったら、私も主人も都会で自然を知らずに育ったゆえの身体能力や感覚の鈍さに限界を感じるようになりました。菌と向き合って良いパンを作ろうと思ったら、勉強して身に付けた“常識”を脱ぐ作業に、とても長い時間を費やさなければならなかったんです。
できれば子どもたちにも自然豊かな所で職人的な仕事をしてほしいと思っているので、一日中机に座って勉強するのではなく、自然の中で遊びながら、心も身体も連動した学びをしてほしいと願っています。」

 

ところで、もう20年も昔の話ですが、私は高校3年生のとき、肺結核を患いました。受験のストレスが大きく、進路をとても悩んでいました。
“生きる”ってなんだろう?
私が生きる意味は、どんな仕事をしたら見出せるようになるだろう?
そんなことを真面目に考えました。
高校生のとき、あんなに悩んだのは何故なのか?
それはきっと、自然や人間の繋がりが見えない都会で生まれ育ったからではないか…。
大人になって田舎で事業をするようになって、そんな若い頃の自分を改めて見つめるようになりました。

 

子どもたちには、私たちが歩んできた道の、更にその先へ進んでほしい。
私の曽祖父や祖父たちが田舎から東京へ出て暮らし、そして時代を経て私は都会の限界を感じてまた田舎へ戻り、農産加工業を営むようになった。
だから子どもは、私たちより更に自然と共に生きる技術を取り戻していってほしい…。
私はそんな風にイメージしてきました。

 

田舎でモノづくりをして生きていきたい。
若い頃そんな風に思ったときから私は根無し草で、いつどこに着地できるのか、どこに根を張ればいいのか、ずっと探してきました。
それから3回の移住を経て、今ここ智頭町那岐に店を開くことができました。
那岐の皆さんにこんなに温かく見守っていただいて、こんなに心安らかに暮らしている。ああ、ここ那岐でずっと根を張っていけたらどんなに幸せかなあ…。

 

この地域で商売をして生きていくということ。
タルマーリーのことも私たち家族のことも、地域の皆さんが本当に良く見ていてくれて、それがとても心強いこと。
そして、子どもたちが地域の皆さんに愛されて育ち、彼らがずっとこの地域で生きていけるといいなあ…。
この1年でそんなイメージをするようになって、自ずと子どもたちの教育環境についても深く考えていきました。

 

今のこの日本で、義務教育である小学校に敢えて行かない選択をするって、どういうことか。
そもそも“勉強”ってなんだろう?
私たちは、子どもたちに良い大学に行って大きな会社に入ってほしいわけではない。
けれど、どんな商売をするにも、モノをつくるだけでなく、経理の計算もあるし、宣伝のために言葉を紡ぐ必要もある。
それに、私たちは本だって書きたい、講演もしたい。
パンやビールをつくるだけでも大変なのに、どうしてこんなに言葉を紡ぐことに力を注ぐのか?
そもそも言葉ってなんだろう???
そんな根本的な疑問にぶつかりながら、本を読んだり、夫婦で議論したり、親として事業主として“教育”について一生懸命考えてきました。

 

そうして結果的に、モコもヒカルも“智頭小学校に行く”という選択をとりました。
紆余曲折、辛く寂しい思いもしたけれど、でも春からの動きを決めた今、モコが清清しい顔をしているのが、とても嬉しいです。
先日、兵庫県の進学校「白陵高校」での講演に家族みんなで行ったのですが、特にこのタイミングのモコにはとても良い刺激になったようです。受験であれ、モノづくりであれ、何か目標に向かって悩みながらも必死に一生懸命に頑張る。そんな風に頑張って前に進もうとしている人に出会うって、大人でも子どもでもワクワクする出来事です。

 

さあ、また新たなステージが始まります。
春からどんな出来事が待ち受けているでしょう。
モコとヒカルがどんなことでも乗り越えていけるように、私とイタルは彼らにひたすら深い愛情を注ぎ続けます。
これからの渡邉家も、どうぞ皆さんオモシロおかしく見守っていてください☆

 

タルマーリー女将 渡邉麻里子


寺田本家の優さん一家が来てくれました!

2013年05月05日|カテゴリー: 子育て/家族

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千葉の酒蔵・寺田本家の社長・寺田優さんご家族が、わざわざ勝山まで遊びに来てくれました。

 

震災後、大きな山を乗り越え、更に素敵になった優さん&聡美ちゃんご夫婦。
お互いに子ども達も成長して、本当に嬉しい楽しい再会でした。

 

それにしても、寺田一家とは不思議なくらい、感性に通じるものがあるなあ…と思いました。
子ども達も、会った瞬間から凄く楽しそうに遊んで、お別れでは珍しくヒカルが号泣。
寂しいけど、でも、遠くにいても、寺田本家はピカピカ光る大切な星。

 

いつもその素敵な存在を感じながら、私達もここ岡山県で頑張ります。

 

そして!

 

この夏にリニューアルオープン予定の「タルマーリーの糀カフェ」で、優さんの講演&聡美ちゃんの料理教室を企画する約束をしましたよ~!

 

どうぞ今後ともお楽しみに☆


誕生日ケーキ!

2012年08月28日|カテゴリー: 子育て/家族

 

我が家の子ども達は、姉弟が同じ誕生日で、今月モコは7歳、ヒカルは3歳になりました!

 

いつもパン屋の仕事で忙しく、今まで誕生日にちゃんとお祝いしてあげることができなかったのですが、今年は初めて、当日にケーキを作ってあげることができました!

 

 

今回作ったケーキは、パイナップルとブルーベリーを飾った、完全なる植物性素材のケーキ

ケーキの層は上から順に…

リンゴ&パイナップルジュースの寒天+パイナップル

ココナッツクリームと豆乳のカスタードクリーム

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クリーム+パイナップル

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という具合。

 

もちろん、モコもヒカルも喜んでくれましたよ☆

 

モコ「ヒカル、一緒にロウソク消そう!」

ヒカル「いやだ~、火が怖い~!」

 

じゃあひとりで消す!ふ~っ!

 

こうして誕生日当日、パン屋営業日にケーキを作ってあげることができるなんて、スタッフがいてくれるおかげです。

2008年、モコが2歳の時、夫婦だけで始めた小さなパン屋タルマーリーは、今年の秋で、私達夫婦+常勤スタッフ4名+アルバイトスタッフ3名という体制になります。

 

まだまだ、タルマーリーの女将業ばっかりの日々ですが、これからスタッフの力がついてきたら、ちょっとずつ、子ども達とゆっくり接する時間も出来てくるかなあと、楽しみです。


「母の直感が世界を変える」~自然育児友の会・会報に寄稿

2012年08月25日|カテゴリー: 子育て/家族

 

自然育児友の会」(自然なお産、母乳育児、おむつなし育児など自然な子育てに関心のある家族の全国ネットワーク)の会報「2012年なつ号」に、パン屋タルマーリー女将(渡邉麻里子)の文章を掲載していただきました。

 

「Mother to Mother」~お母さんからお母さんへ伝えたいこと~

ということで、格に厳しい(?)アドバイスをもらいながら、今の私の思いを一生懸命書きました。

 

下記が掲載された文章です。

たくさんの方に読んでいただけたら、とても嬉しいので、ブログでも公開します。

 

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「母の直感が世界を変える」

 

2011年3月11日。千葉県いすみ市の「パン屋タルマーリー」では、オープンして4年目という史上で、最も大量のパンを製造していた。既存の取引先に加え、大手スーパーから催事用の注文も入っていたのだ。

 

2008年、夫婦で始めた小さなパン屋。でも、私達には大きな夢があった。“農”をベースに、人・モノ・お金が循環し、環境と社会が良くなっていく…そういう地域モデルを作るために、パンはひとつの“手段”と考えていた。

 

だから、町づくり活動にも積極的だった。まず「ナチュラルライフマーケット」というイベントを立ち上げた。“房総のつくり手たちのこだわり市”というコンセプトで、厳しい出店基準を設け、この市を通して「地域を良くする生産のあり方」を提示できないか…と試みた。

 

更に、地域通貨も作ってみた。そして最終的には、地域資源を活かした起業家が集まってくることを願って「起業大学」という講座も企画した。 こうした活動が功を奏してか、東京から力強い人々が近所に移ってきた。同じ子育て世代、夢を熱く語り合えるかけがえのない仲間となった。

 

しかし、町づくりに力を入れる一方で、やはり本業を拡大していこう!と、震災前にパン職人2名を雇い始めた。

 

こうして、まさにこれから!と勢いに乗っていた3.11、あの大きな揺れが来た。

 

私はとにかく地震が怖かった。けれど夫は数日後から「原発がやばい。母子だけでも今すぐ逃げた方がいい!」と言い始めた。私にはピンとこなかった。むしろ、パン屋を放って逃げるなんて無責任と思った。それに、震災前日に生まれた兄の双子も気になった。「私達だけ逃げればいいの?」そこから夫婦喧嘩が始まった。

 

結局、しばらく屋内退避をすることにした。ひたすら家に閉じこもってTVを見て過ごした。2週間後、久しぶりにネットを見て、TV情報との違いに愕然とした。

 

更に、チェルノブイリで何が起こったかも調べた。夫は若い頃ハンガリーで暮らし、友人が白血病で亡くなった経験があるので、チェルノブイリの教訓を生身で感じていた。彼が抱いていた危機感を、この時やっと私も共有できた。これは本当にやばい。今すぐ避難しよう、と心を決めた。

 

そして4月1日。5歳娘・モコと1歳息子・ヒカルを抱えて、友人を頼って熊本県水俣へ。私の仕事はすべて夫に渡し、数か月の一時的な母子避難というつもりだった。

 

「この危機感を共有して、多くの子ども達に避難してほしい」と願い、ブログで母子避難したことをありのままに発信した。しかしこれに対して「津波や地震の被害を受けていないあなたが、なぜ逃げるのか?」という批判を沢山もらった。それで私は悟った。「もう、自分の子どもを自分で守るのが精いっぱいの世の中になってしまったんだ…」と。

 

店を移転するか、迷っていた。そんな折、千葉の物件の大家に立ち退きを言い渡された。これは「西へ動け」という天からの合図だと思った。更に同じ頃、岡山の後輩からメールをもらった。結局、こうした自然な流れにのって、岡山への移転を決めた。

 

「何故、岡山へ?」とよく聞かれる。勿論、いろいろ考えた結果ではあるのだが、一番大きな要因は「直感」だ。

 

私はもともと鈍感な方だったが、田舎で起業するという大きなチャレンジが、感覚を磨いてくれたように思う。しかし、何より直感力を鍛えてくれたのは、二人の子ども達である。なるべく自然に添う育児を心がける中で、特に、ヒカルの自宅出産とアトピー、オムツなし育児から得た学びは大きい。

 

結局、出産も病気も“万が一のリスク”に集中するあまり、人間本来の自然な力を発揮する場を失っているように思う。

 

毎日おっぱいをあげていれば、体温計に頼らずとも、触るだけで具合がわかる。オムツに頼らず排泄のサインをキャッチできるようになれば、更にコミュニケーションが深くなる。そして、アトピーでも風邪でも、すぐに医療に頼ることなく、子どもに寄り添っていれば、自然治癒力を信じられるようになる。母親の感覚を磨いていれば、本当に危険な時は、きちんと判断できるようになると思うのだ。

 

子ども達がいたから、私はこうして岡山へ動いた。勿論それは、とても辛い出来事だった。東京の家族や千葉の仲間、そして夫婦で築き上げたパン屋…大切なモノを置いて、遠い未知なる土地へ…。あまりに突然で、自分の中で早急に人生をリセットしなければならず、毎日泣いて悩んで苦しかった。

 

しかし私たちは、土地の恵みを材料に、子どもに安心して食べさせられるモノを作ろう…とパン屋を営んできた。けれど、3.11を境に、世界はガラリと変わってしまった。もし数年後、我が子に健康被害が出たら…その可能性が少しでもあるなら、私は子どもを存分に土遊びさせられる場所に動きたいと思った。それが今までの、そしてこれからの自分の人生に、正直な道だった。

 

これからどうなっていくか、私たちはかなり悲観的だ。でも、だからこそ、より良いパンを作れる環境に移ろうと決めた。それで「良い水が湧く場所」をキーに土地を探し、岡山県真庭市勝山に辿り着いた。

 

勝山でパン屋を再開して半年経った今、移転して良かったと心から思っている。その苦労は並大抵ではなかったけど、毎日家族揃って暮らせることが、ただただ有難い。

 

震災前から、女性の感覚を大切に、パン屋を経営してきた。夫婦同等に話合いながら、家族の生活を第一に、格好つけずに身の丈で、なるべくお金を使わずに生きてきた。

 

しかし、3.11を経てこちらに暮らしてみると、自分がどんなに“常識”という呪縛に囚われていたか…と思い知る日々だ。「中国地方=過疎」という暗いイメージは覆された。この溢れる自然と良質な水、人々の温かい心に抱かれ、なんて豊かな土地だろう…と実感する。私たちはまだまだ“東京”という経済にどっぷり依存していた…と気づかされる。

 

今こそすべてを根本から問い直し、直感を呼び覚まし、しっかり行動すること。それが3.11後の世界を変えていくために、急務だと思う。そして、それに一番気づいているのが、子育てを通して直感を磨いてきたお母さん達だ。

 

さあ、自信を持って、女性の感覚を信じて、できることから行動していきましょうね!

 

 

■渡邉 麻里子 プロフィール

国産小麦×自家製酵母がポリシーの「パン屋タルマーリー」女将。1978年東京生まれ。子どもの頃から田舎暮らしに憧れ、環境問題に危機感を持つ。東京農工大学農学部在学中、日本の農家や環境教育現場にて研修、米国とNZで援農を経験。卒業後、有機農産物流通会社→農産加工業者にて通販や広報を担当した後、独立。

 

■パン屋タルマーリー

「パンを作れば作るほど、社会と環境が良くなっていく」経営が目標。自家製酵母のみを使用し、自然栽培素材と天然菌によるパンを製造。酒種、レーズン酵母、全粒粉酵母、サワー種という4種の酵母を使い分け、柔らかいパンからかたいパンまで、幅広い味と食感のパンを提供。震災後、江戸時代の美しい町並みが残る岡山県勝山へ移転。古い町屋を改装したパン屋には、カフェも併設。ホームページには、通販サイトもあり。

 

〈営業時間〉 パン屋&イートインカフェ 10時~17時

〈定休日〉 月・火・水曜日

〈住所〉 〒717-0013 岡山県真庭市勝山195-3

Tel/Fax 0867-44-6822   URL http://talmary.com/


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