自然栽培×天然菌 / ブログ&お知らせ
タルマーリー研修合宿レポート~スタッフ・田代和代~

タルマーリーで働き始めて4ヶ月。
タルマーリーの働き方は人ではなく菌を中心に動いている。
今回プロの仕事を見るというテーマで連れて行ってもらった島根の研修旅行では、反田さんの圃場見学、風のえんがわさん、群言堂へ。
どれも違う職種だけれど、共通しているのは人ありきではなく自然ありきの仕事をしていること。
細やかな気遣い。シンプル。バランス。手をかけるということ。
ほんとに素晴らしかった。
そしてこれはタルマーリーにも共通することだった。
反田さんは常に畑に足を運び、農薬を買うお金をかけるのではなく、地面を履いながら草をむしる時間と手間をかけている。

風のえんがわさんは豪華なものでもてなすのではなく、顔の見える食材でシンプルで美味しいご飯。細かい気遣いと気持ちの良い空間づくりで、みんなに居心地のよさをつくっている。

群言堂さんは隅々まできちんと直された古民家。財産を残すのではなく文化を残そうとしている。

足し算ではなく引き算。
シンプルだからこそ美しい。
それはきっと昔の人たちが当たり前にやってきたことで、効率やお金を中心に考えている現代になくなろうとしていることじゃないかとはっとした。
いろいろなところを見て最後に行った群言堂で登美さんのお話のなかで、孫に財産ではなく文化を残していきたい。人生は作品だ。とおっしゃっていた言葉が心に残った。

この研修を通して自分がどういう生き方をしたいのかが分かってきた気がする。
そしてそのお手本となる人が身近にたくさんいることが本当に有難い。
わたしはタルマーリーにパンを習いにきたのだけれど、それと同時にこれからの自分や日本にとっても大切なことを学びに来たのだなぁということに気づいた。
研修は何より、みんなとずっと一緒で大家族みたいで賑やかで、終始ほんとにたのしかった!
つくづくいいスタッフたちと働いてるなぁと実感。
今は菌とちゃんと向き合って、美味しいパンをつくることが、わたしのこれからの人生を面白い発酵に導いてくれるのだと思う。
学びと気づきの多い3日間。
ありがとうございました。
スタッフ・田代和代
念願の自家製糀・甘酒アイス!

暑いですね~、ホントに。
パン屋はオーブンを使うので、本当に暑いです。なので、夏は痩せます。
食べるものも、水分たっぷりのモノが欲しくなりますよね。
そこで!
念願だった、自家製甘酒のアイスクリームを、今夏より販売しています☆
そうです!
甘酒が自家製なのはもちろん、材料である米糀から自家製、更に糀菌は天然です!
この貴重な天然糀の甘酒をたっぷり使った、砂糖や乳製品など動物性素材は不使用のベジ・アイスクリーム。
甘酒の甘みだけでも充分美味しく、さっぱりとしながらもしっかりコクや滑らかさもあって、生クリームを使ったアイスよりも、身体に染み渡るような感じがします。
まずは「バナナチョコ味」を定番に、徐々にいろいろなフレーバーを増やしていく予定です♪
天然菌×自然栽培。
これからのタルマーリーの定番・夏メニュー。
古民家カフェでホっと一息、休んで行って下さいね。
「自家製甘酒アイスクリーム チョコバナナ味」 300円
材料:
自家製甘酒(岡山県産自然栽培米、天然菌の米糀)
有機バナナ(エクアドル産)
有機豆乳(マルサンアイ・熊本工場:米国、中国産大豆使用)
有機ココア(アリサン:加工地オランダ)
菜種サラダ油(鹿北製油:オーストラリア産non-gmo菜種使用)
宮大工と、パン職人~「棟梁」を読んで~

宮大工である小川三夫さんの著書・「棟梁」 を読んで、夫婦ともに、非常に感銘を受けています。
この本は、私達タルマーリーへの、最大の応援歌…そう思います。
いつもは女将の私がブログを更新していますが、今回は久しぶりにオーナーシェフの渡邉格の文章です。↓
—————————————————————-
私と妻は、同じ本を読まない。
読んだ本について、お互い自分の解釈を通して相手に伝える。
それを聞いて納得して、同じ本を読まなくてもいいか…と思う。
しかし「これは!」という本については、相手に無理やり読ませる
取り決めたわけではないが、ここ10年ほど、そのようにしてきた
そして昨日、妻から渡された「棟梁」という本をを読んだ。
宮大工の本だ。
職人の心得から親方のあり方まで、仕事を通じて育っていく様。
職人になり立ての時に読んだら、どう思ったか?
独り立ちした時に読んだら、どう思っただろうか?
私自身、多くの反省点を持ってこの本を読み進めた。
開業して6年目、未だ一人も職人を排出できずにいる、オーナーと
パン屋タルマーリーでのパン修業を卒業したという人間は未だいな
その理由もわかる。
私自身の問題だとはわかっていたが、それが再確認できた。
1人だけ、タルマーリーの製造現場で1年働き続けてくれた女性が
彼女の働きにより、パン屋も良くなっていった。
でも、まさにこれから!というとき、彼女は辞めてしまった。
残念だった。
しかし、彼女のおかげもあり、働く環境もよくなり、ここ最近は素
タルマーリー全体として、素晴らしい仕事ができるようになってき
これからはここで、良い職人が育っていく…そんな実感がある。
丁度そんなときに、この本に出会った。
人生には、丁度そんな時に出会う…というタイミングがある。
今、この本に出会ったことは、偶然ではなく、必然なのかもしれな
パン作りは建築に通じるモノがあるな・・・と思う。
パン作りをする人間として、建築から学ぶことは多い。
建築を追求していくと、先人たちの技にたどり着く…というのも、
そして驚くことに、最終的には環境問題による壁にぶち当たる…と
まさに、天然菌のパンを追求する私達が、原料の調達に四苦八苦し
ところで、伝統的な技の伝承の難しさを「宮大工」という世界で考
現代人は、学校教育を経て職業選択が増えたことや、簡単にお金を
また、機械や道具が発達したおかげで、加工された木だけを扱う安
食の世界にも、似たようなものを感じる。
しかし、それ以上に驚くことは、技が伝承されたとしても、寺社な
樹齢千年以上の木が生き残る環境が、今の日本にないのだという。
このような話を聞くと、「持続可能」とは何なのかと…考えてしま
戦後は、経済的な観点からの「持続可能」が追求された。
つまり、
「古臭いやり方は、食べていけないから廃れて無くなった=持続不
という論調が一般的になった。
確かに、この世から無くなってしまえば、持続可能とは言えない。
そういった意味で、昔からの職人的な仕事は、戦後から経済的に持
しかし、今でもゼロにはなっていない。
細々でもまだ続いているのだ。
そして、そういう仕事こそ、自然環境を守りながら確かに続いてい
「経済を含めた持続可能」が、「経済だけの持続可能」になり替わ
日本という国は、自然環境も含めて2000年近く続いてきた職人
ここから出る答え…。
自然環境を破壊してもなお、私達の生活は半永久的に持続していく
「持続可能」な仕事とは、最低でも、その周りの環境と共に何百年
これからの仕事は、経済的な観点だけでなく、「自然環境を含めた
だからこそ、自然環境を守ってきた昔からの仕事というモノを見直
職人、百姓…。
1000年単位で続いてきたやり方こそ、真の答えだと思うのだ。
1300年の技を伝承してきた宮大工が、「コンクリートよりヒノ
歴史の荒波を乗り越えてきたものだけが、「持続可能」を証明する
誤解のないように書いておくが、私は科学全般を否定するものでは
先人達の経験を自分のモノにしたうえで、より発達した機械や道具
それは「庶民の利益」につながるからである。
しかし、「企業の利益」のために、先人たちの知恵を皆殺しにして
宮大工は、何千年も前に建てられた建築を通して、古代の職人と対話するという。
そんなパン職人は、今の日本にどれくらいいるだろうか?
私も、古代の人々と会話できるパン職人になりたい。
「持続可能」を求めて、天然麹菌の採取について、掘り下げる。
室町時代に思いをはせ、古代人と対話する。
現在を未来に繋げる技が、過去から確実に伝えられているのだ。
こんな時代に、「技」は庶民にとって最後の武器だ。
そうして先月から、パン屋タルマーリーでは、丁稚という制度を見直し、研修制度をスタートさせた。
これからタルマーリーで研修したいと思う人々にも、ぜひこの本を読んでみてほしい。
「棟梁」 小川三夫・著 文春文庫
タルマーリーの強みって?

「タルマーリーの強みって、何だと思いますか?」
と問われ、考えた。
即答したのは「ブレないところ」。
それからしばらく、また考えた。
タルマーリーならではの強みって何か。
そして、思いついた。
多分、私たちの強みは、 「根っこがある」 ということ、かもしない。
格と結婚してから、そしてタルマーリーを開業してから、ずっと二人で「根っこ」を育ててきたんだなあ、きっと。
私たちは根本的に、どういう世界を作っていきたいのか。
どういう理想を、未来に、子ども達に、引き継ぎたいのか。
本当にトコトン根本的に、根っこを掘り下げてきた。
今の世界がどういう状況とか、友達とか家族がこういう状況とか、そういうことすべて超えたところでもなお通用する、普遍的な答え。
そして、根っこを育てる過程では、自分たちの思想や経験だけでなく、更にパンの発酵=天然の菌たちの声が、大きな力を貸してくれた。
多分、根っこが深く張っているから、私たちはブレない。
そして、タルマーリーは今やっと、土の上の枝葉を伸ばし始めた、そういう段階なのかもしれない。
つぼみをつけ、花を咲かせることができるのは、いつになるだろう。
それはわからないけど、これからも根っこをより大事に、大切に育てていこうと思う。
(写真は、庭に咲いた牡丹の花)
やり遂げた2012年!

2012年。
タルマーリーを開業して5年目。
格と結婚して9年目。
なんだかんだ、私たち夫婦は常にドタバタやってきましたが、2012年は本当に充実していました。
今年はほぼ、やりたかった目標を達成できたと言えます。 この一年を終えようとしている今、本当に楽しくて、心から幸せだー!と思っています。
2月16日、岡山県・勝山でのパン屋タルマーリーがオープン。
昨年末から一番寒い時期に、格が中心となってほぼ自力工事で成し遂げた工房&店舗改装。あの辛い日々を、きっとずっと忘れません。
そして、震災後に千葉での店を閉めてから、9か月半ぶりの再スタート。
日々パンを作って、売る…という日常が戻った喜びは、何物にもかえがたいものでした。
震災直前から常勤スタッフを雇用し始めたタルマーリーでしたが、岡山に移転してからも事業を縮小することなく、積極的にスタッフを募りました。
しかし、移転後この一年、スタッフの入れ替わりが激しく、正直のところ、それによる心身の疲労も大きいものがありました。
やっと秋くらいから安定し始め、特に5月から働き始めたスタッフ・愛子ちゃんは、パンの製造は初心者だったものの、必死で喰らいつき目を見張る成長ぶりで、早くも格の右腕になってくれています。
更に、岡山に移った最大の要因である、天然糀(こうじ)菌の自家採取。 千葉ではパンを作り続けて4年でやっと、パン工房に糀菌が自然に棲みつく環境になったため、岡山でも時間がかかることは覚悟していたのですが…。
なんと、今年の秋に成功! 勝山に棲む糀菌から米糀を醸し、酒種を作ることができました。
(写真↓自家製糀菌で、米糀を仕込んでいる格)

ただ、まだまだ酒種は安定せず、皆さん待望の「和食パン」が製造できるくらいの、ベストな発酵状態には至っていません。
酒種の安定は、来年からの大きな課題でもあります。
そして、年末ギリギリセーフで達成できた目標が、ビール酵母の製造。
タルマーリーでは今まで、4種類の酵母
【酒種、レーズン酵母、(小麦)全粒粉酵母、(ライ麦)サワー種】
でパンを作ってきました。
これに加えて、大麦を発酵させた酵母、すなわちビールの酵母でバゲットを焼きたい!
蒜山耕藝でも大麦の栽培を始めているし、新たな挑戦をしようと、格の開拓魂がまたまたうずいている訳です。
そして、このビール酵母作りに手を挙げたのが、ここ真庭市出身の若きスタッフ・三浦君。

(写真↑ 麦芽を煮だして、麦汁を取り出している三浦君。)
今年の夏から、タルマーリーでアルバイトを始めた彼は、私達と同様、大学農学部卒。 しかも、酢酸菌の研究の末、修士過程を卒業。
格とマニアックな“発酵”話に華を咲かせ、気付いたらタルマーリーの主要スタッフに。
更に彼は、1月からは日本一のビール職人・丹羽さんのいる山梨へ、2か月の研修に行くという熱心さ!
研修を終えた彼が帰ってくることを、スタッフ一同、物凄く楽しみにしています!!!
そしてそして、更なるタルマーリーの目標=自家製粉100%!に向けて、格はここ勝山の工房内にも設置できる製粉機のリサーチを進めてきました。
いろいろ熟慮した結果、カフェキッチンの後ろ側の倉庫を製粉部屋にすることになり、年末にコンクリートの土間をうつ工事をしてもらいました。
格はパン製造でも体力を消耗する中、なんとか年内に片付けたい…と、一人で壁や棚や扉など大工仕事をして、一応、製粉部屋ができました!
これで来年からは、ここ岡山県近隣で自然栽培された小麦を100%自家製粉できるようになるか?!
ともかく、頑張ります!!!
ということで、相変わらず全力疾走、無理しまくりの暴走タルマーリー。
おかげ様で、とっても充実した素晴らしい一年を終えようとしています。
とはいえ、社会の動きをみると、絶望することばかりだった…とも言えます。
しかし、だからこそ、この一年で出会い育んだ、かけがえのない仲間たちとの関係は、キラキラ眩しいほどに輝いています。
こんな時代に生まれたからこそ、最後までやり通す。
子どもたちになんとか、希望を持って生きていける世界を繋げたい。
だから私たちは、こういうパンを作っているわけです。
現代の、こんなに鈍ってしまった人間の感覚なんて、まったくあてになりません。
でも天然の菌は、ある意味「真実」を教えてくれます。
だから、発酵食の作り手として、私たちは、天然の菌の教えてくれる道を、進んでいこうと思っています。
自然栽培×天然菌のパン=タルマーリー。
タルマーリーは決してとどまらず、常に進化しつづけます。
来年も、どうぞよろしくお願い致します!!!





